jigahouboku<自我放牧>

487

2011-07-22「林芙美子 泣虫小僧」

from ALBUM : 「2011-0720110722 林芙美子_泣虫小僧
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Lyrics

No.487「林芙美子 泣虫小僧」

青空文庫URL : http://bit.ly/qAHCt8

閻魔蟋蟀が二匹、重なるようにして這いまわっている。
啓吉は、草の繁った小暗いところまで行って、離れたまま対峙している蟋蟀たちの容子をじいっと見ていた。小さい雄が触角を伸ばして、太った雌の胴体に触れると、すぐ尻を向けて、りいりい……と優しく羽根を鳴らし始めた。その雄の、羽根を擦り合せている音は、まるで小声で女を呼ぶような、甘くて物悲しいものであったが、蟋蟀の雄には、それが何ともいえない愛撫の声なのであろう、りいりい……と...

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