jigahouboku<自我放牧>

562

2011-10-05「牧野信一 秋雨の絶間」

from ALBUM : 「2011-1020111005 牧野信一_秋雨の絶間
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No.562「牧野信一 秋雨の絶間」

青空文庫URL : http://bit.ly/p43spR

一降り欲しいとのぞんだ夏の小雨が、終日降り続いて、街の柳に煙つたかとみると、もうそれは秋雨と呼ばなければならない。軽く軽く絹糸のやうに降つてゐる小雨の音は、小声で唱歌を唄つてゐる綾子の――丁度その雨のやうに美しい音律にも消されて、たゞ静かに白銀の粉末を散らしてゐるばかりである。そしていつの間にか庭の葉末の影から綾子の黒曜石のやうな瞳までを...

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