jigahouboku<自我放牧>

564

2011-10-07「国枝史郎 神州纐纈城」

from ALBUM : 「2011-1020111007 国枝史郎_神州纐纈城
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No.564「国枝史郎 神州纐纈城」

青空文庫URL : http://bit.ly/mPhYQS

土屋庄三郎は邸を出てブラブラ条坊を彷徨った。
高坂邸、馬場邸、真田邸の前を通り、鍛冶小路の方へ歩いて行く。時は朧ろの春の夜でもう時刻が遅かったので邸々は寂しかったが、「春の夜の艶かしさ、そこはかとなく匂ひこぼれ、人気なけれど賑かに思はれ」で、陰気のところなどは少しもない。
「花を見るにはどっちがよかろう、伝奏屋敷か山県邸か」
鍛冶小路の辻まで来ると庄三郎は足を止めたが、「いっそ神明の宮社がよかろう」
こう呟くと南へ折れ、曽根の邸の裾を廻わった。
しかし、実際はどこへ行こうとも、またどこへ行かずとも、花はいくらでも見られるのであった。月に向かって夢見るような大輪の白い木蘭の花は小山田邸の塀越しに...

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