jigahouboku<自我放牧>

735

2012-03-26「神西清 水と砂」

from ALBUM : 「2012-0320120326 神西清_水と砂
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Featured Instruments

Piano In Blue, Rhodes, Chorus

Lyrics

No.735「神西清 水と砂」

青空文庫URL : http://bit.ly/GQSWPd

「此処から足許があぶなくなりますから、みなさんご用心よ。」
 彼等が、小流の畔に出ると、一ばん先に進んでゐた光代がかう言ひ棄てていきなり右へ折れた。驟雨に洗はれて空気の澄みきつた七月の初夜である。見あげれば少なからぬ星影は青く燦めいてゐるのであるが、此あたり一帯にすぐ背後に山を背負つてゐるために、闇は一しほに濃い。然し幸ひなことに砂みちであるので、その仄白さと、踏めばサラサラと微かに音を立てるのとで、さう歩き難い方ではない。よそ目には不機嫌と見えようまで黙りこくつた...

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