jigahouboku<自我放牧>

412

2011-05-08「岡本かの子 晩春」

from ALBUM : 「2011-0520110508 岡本かの子_晩春
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PadSynth, Bass, ReverbSnare

Lyrics

No.412「岡本かの子 晩春」

青空文庫URL : http://bit.ly/mBu7tP

鈴子は、ひとり、帳場に坐って、ぼんやり表通りを眺めていた。晩春の午後の温かさが、まるで湯の中にでも浸っているように体の存在意識を忘却させて魂だけが宙に浮いているように頼り無く感じさせた。その頼り無さの感じが段々強くなると鈴子の胸を気持ち悪く圧え付けて来るので、彼女はわれ知らずふらふらと立ち上って裏の堀の縁へ降りて行った。

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