LyricsNo.480「梶井基次郎 泥濘」青空文庫URL : http://bit.ly/qPYZjpそれはある日の事だった。―― 待っていた為替が家から届いたので、それを金に替えかたがた本郷へ出ることにした。 雪の降ったあとで郊外に住んでいる自分にはその雪解けが億劫なのであったが、金は待っていた金なので関わずに出かけることにした。 それより前、自分はかなり根をつめて書いたものを失敗に終わらしていた。失敗はとにかくとして、その失敗の仕方の変に病的だったことがその後の生活にまでよくない影響を与えていた。そんな訳で自分は何かに気持の転換を求めていた。金がなくなっていたので出歩くにも出歩けなかった。そこへ家から送ってくれた為替にどうしたことか不備なところがあって、それを送り返し... Bookmark |
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