jigahouboku<自我放牧>

501

2011-08-05「原民喜 焚いてしまふ」

from ALBUM : 「2011-0820110805 原民喜_焚いてしまふ
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Lyrics

No.501「原民喜 焚いてしまふ」

青空文庫URL : http://bit.ly/osk7TJ

紀元節に学校の式を休んで、翌日もまた学校を休んだ。すると、その晩から熱が出て、風邪の気味になった。私は二階の一室に一人で早くから蒲団を被って寝た。ふと、目が覚めると畳の上に白紙のやうなものが落ちてゐる。それは雨戸の節穴から月の光が洩れて来てゐるのであった。私はわざと腕を伸してその光を掬ってみた。それから窓を開けた。もう夜明けらしく、月は西の空に冴えて居て、ひえびえとした大気が、屋根の霜とともに肌に迫って来た。私は寝衣の襟をひらいて、胸一杯さらけ出した。もっと病気が重くなれと...

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