jigahouboku<自我放牧>

555

2011-09-28「原民喜 魔のひととき:讃歌」

from ALBUM : 「2011-0920110928 原民喜_魔のひととき:讃歌
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No.555「原民喜 魔のひととき:讃歌」

青空文庫URL : http://bit.ly/qmgu3C

濠端の鋪道に散りこぼれる槐の花
都に夏の花は満ちあふれ心はうづくばかりに憧れる

まだ邂合したばかりなのに既に別離の悲歌をおもはねばならぬ私
「時」が私に悲しみを刻みつけてしまつてゐるから
おんみへの讃歌はもの静かにつづられる

おんみ最も美しい幻
きはみなき天をくぐりぬける一すぢの光
破滅に瀕せる地上に奇蹟のやうに存在する

おんみの存在は私にとつて最も痛い
死が死をまねき罪が罪を深めてゆく今
一すぢの光はいづこへ突抜けてゆくか

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