jigahouboku<自我放牧>

557

2011-09-30「黒島伝治 渦巻ける烏の群」

from ALBUM : 「2011-0920110930 黒島伝治_渦巻ける烏の群
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No.557「黒島伝治 渦巻ける烏の群」

青空文庫URL : http://bit.ly/nHN8VV

「アナタア、ザンパン、頂だい。」
子供達は青い眼を持っていた。そして、毛のすり切れてしまった破れ外套にくるまって、頭を襟の中に埋めるようにすくんでいた。娘もいた。少年もいた。靴が破れていた。そこへ、針のような雪がはみこんでいる。
松木は、防寒靴をはき、ズボンのポケットに両手を突きこんで、炊事場の入口に立っていた。
風に吹きつけられた雪が、窓硝子を押し破りそうに積りかかっていた。谷間の泉から湧き出る水は、その周囲に凍てついて、氷の岩が出来ていた。それが、丁度、地下から突き出て来るように...

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