jigahouboku<自我放牧>

560

2011-10-03「坂口安吾 帆影」

from ALBUM : 「2011-1020111003 坂口安吾_帆影
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Lyrics

No.560「坂口安吾 帆影」

青空文庫URL : http://bit.ly/n3quAx

凡そ退屈なるものの正体を見極めてやらうと、そんな大それた魂胆で、私はこの部屋に閉ぢ籠つたわけではないのです。それとは全く反対に、凡そ憂鬱なるものを忘却の淵へ沈め落してしまほふと、それは確かに希望と幸福に燃えて此の旅に発足したのでした。それも所詮単なる決心ではありますが――とにかく其の心掛けは有つたのです。勿論初めのうちは、時々は散歩に出掛ける心持にもなつたものですが、その気持でさて立ち上つてみますに、何か一つ心に満ち足りない感じがして、つひうかうかと窓から外ばかり眺めてゐるうちに...

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