jigahouboku<自我放牧>

579

2011-10-22「萩原朔太郎 記憶」

from ALBUM : 「2011-1020111022 萩原朔太郎_記憶
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Lyrics

No.579「萩原朔太郎 記憶」

青空文庫URL : http://bit.ly/r84P8x

記憶をたとへてみれば
記憶は雪のふるやうなもので
しづかに生活の過去につもるうれしさ。

記憶は見知らぬ波止場をあるいて
にぎやかな夜霧の海に
ぽうぽうと鳴る汽笛をきいた。

記憶はほの白む汽車の窓に
わびしい東雲をながめるやうで
過ぎさる生活の景色のはてを
ほのかに消えてゆく月のやうだ。

記憶は雪のふる都會の夜に
しづかな建築の家根を這ひまはる
さびしい青猫の影の影
記憶は分身のやうなものだ。

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