jigahouboku<自我放牧>

582

2011-10-25「近松秋江 うつり香」

from ALBUM : 「2011-1020111025 近松秋江_うつり香
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Lyrics

No.582「近松秋江 うつり香」

青空文庫URL : http://bit.ly/rZTcpp

そうして、それとともにやる瀬のない、悔しい、無念の涙がはらはらと溢れて、夕暮の寒い風に乾いて総毛立った私の痩せた頬に熱く流れた。
涙に滲んだ眼をあげて何の気なく西の空を眺めると、冬の日は早く牛込の高台の彼方に落ちて、淡蒼く晴れ渡った寒空には、姿を没した夕陽の名残りが大きな、車の輻のような茜色の後光を大空いっぱいに美しく反射している。そういう日の暮れてゆく景色を見ると、私はまたさらに寂しい心地に滅入りながら、それでもやっぱり今...

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