jigahouboku<自我放牧>

652

2012-01-03「有島武郎 星座」

from ALBUM : 「2012-0120120103 有島武郎_星座
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Lyrics

No.652「有島武郎 星座」

青空文庫URL : http://bit.ly/dwLpG8

その日も、明けがたまでは雨になるらしく見えた空が、爽やかな秋の朝の光となっていた。
咳の出ない時は仰向けに寝ているのがよかった。そうしたままで清逸は首だけを腰高窓の方に少しふり向けてみた。夜のひきあけに、いつものとおり咳がたてこんで出たので、眠られぬままに厠に立った。その帰りに空模様を見ようとして、一枚繰った戸がそのままになっているので、三尺ほどの幅だけ障子が黄色く光っていた。それが部屋をよけい小暗く感じさせた。
隣りの部屋は戸を開け放って戸外のように明るいのだろう。そうでなければ柿江も西山もあんな騒々しい声を立てるはずがない。早起きの西山は朝寝の柿江をとうとう起してしまったらしい。二人は慌てて学校に出る支度をしているらしいのに、口だけは悠々とゆうべの議論の続きらしいことを饒舌っている。

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