jigahouboku<自我放牧>

677

2012-01-28「神西清 化粧」

from ALBUM : 「2012-0120120128 神西清_化粧
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Guitar, Drum

Lyrics

No.677「神西清 化粧」

青空文庫URL : http://bit.ly/xZDI5Q

これは昔ばなしである。――
二人はおさない頃から仲よしだつた。家は大和の国の片ほとり、貧しい部落に、今ならばさしづめ葭簀ばりの屋台で、かすとり焼酎でも商なふところか、日ごとに行商をして暮らしを立てる、隣どうしであつた。
幼い二人は背戸の井筒のほとりで、ままごとや竹馬あそびをしてゐた。遊びにあきると二人で井筒に寄り添つて丈くらべをした。年は少年が三つ上だつたが、背丈は少女の方が高かつた。少年はいつも負けて口惜しがつた。
井筒につける二人の爪の痕が、だんだん上へ伸びていつた。

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