jigahouboku<自我放牧>

733

2012-03-24「小川未明 ある男と無花果」

from ALBUM : 「2012-0320120324 小川未明_ある男と無花果
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PianoInBlue, OctaveGuitar, Drum, Bass

Lyrics

No.733「小川未明 ある男と無花果」

青空文庫URL : http://bit.ly/GIukEj

 ある男が、縁日にいって、植木をひやかしているうちに、とうとうなにか買わなければならなくなりました。そして、無花果の鉢植えを買いました。
「いつになったら、実がなるだろう。」
「来年はなります。」と、植木屋は答えました。しかしその木は、小さくありました。
 男は、それを持って帰る途中夕立にあいました。
 もう、そのときは、そんな木どころではありません。木などは、どうでもよかったのです。友だちの家に頼って、雨のやむまで待って、帰りには、その無花果の鉢を預けてゆきました。
 幾月も、幾年もたちましたけれど、男は、忘れたものか、友だちの家へあずけた木を取りにゆきませんでした。

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