jigahouboku<自我放牧>

751

2012-04-11「松本泰 日蔭の街」

from ALBUM : 「2012-0420120411 松本泰_日蔭の街
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DelayWowGuitar, MuteGuitar, Bass, Drum

Lyrics

No.751「松本泰 日蔭の街」

青空文庫URL : http://bit.ly/HHutdi

 歳晩の寂しい午後であった。私は、青い焔をあげて勢よく燃えさかっている暖炉の前へ、椅子を寄せて、うつらうつら煙草を燻らしていた。私の身のまわりは孰れも見馴れたもの計りで、トランクは寝台の下に投込んであり、帽子掛には二つの帽子と数本のステッキがある。飾棚の漆塗の小箱、貝細工の一輪挿、部屋の隅に据付けてある洗面台の下の耳のとれた水差、それから二組の洋服と外套の入った洋服箪笥、それ等はあった儘に位置を変えず、灰を被ったように寂然と並んでいた。

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