jigahouboku<自我放牧>

820

2012-06-19「寺田寅彦 簔虫と蜘蛛」

from ALBUM : 「2012-0620120619 寺田寅彦_簔虫と蜘蛛
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Featured Instruments

TremoloGuitar, HeavyGuitar x2, Bass, Drums, Logan

Lyrics

No.820「寺田寅彦 簔虫と蜘蛛」

青空文庫URL : http://bit.ly/LxGbYT

 二階の縁側のガラス戸のすぐ前に大きな楓が空いっぱいに枝を広げている。その枝にたくさんな簔虫がぶら下がっている。
 去年の夏じゅうはこの虫が盛んに活動していた。いつも午ごろになるとはい出して、小枝の先の青葉をたぐり寄せては食っていた。からだのわりに旺盛な彼らの食欲は、多数の小枝を坊主にしてしまうまでは満足されなかった。紅葉が美しくなるころには、もう活動はしなかったようである。とにかく私は日々に変わって行く葉の色彩に注意を奪われて...

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