Featured InstrumentsGuitar x4, DrumLyricsNo.612「山下利三郎 流転」青空文庫URL : http://bit.ly/scxJb3「蕗子が殺されたのは、その晩の僅かな時間のあいだでした……。 私が訣別の詞を書いた手紙をもって戸外へ出ると、そこは彼女の家の裏まで田圃つづきです。彼女の居間に灯のついていることが、幾度か窓の下へ近よってゆくことを逡巡させましたが、ようやく思切って忍足に障子の際までゆくと、幸いその破れから内部を覗くことができました。 母に死別れて間のない、傷みやすい蕗子の心を波立たせたくない。能ることなら何も知らせずに、このまま土地を離れてしまいたい。この手紙だって、自分が旅立ってしまうまでは、見てくれない方が好いのだと思っていた... Bookmark |
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