Featured InstrumentsAco.Guitar, Wurlitzer, GuitarLyricsNo.649「芥川龍之介 年末の一日」青空文庫URL : http://bit.ly/uE6go6………僕は何でも雑木の生えた、寂しい崖の上を歩いて行った。崖の下はすぐに沼になっていた。その又沼の岸寄りには水鳥が二羽泳いでいた。どちらも薄い苔の生えた石の色に近い水鳥だった。僕は格別その水鳥に珍しい感じは持たなかった。が、余り翼などの鮮かに見えるのは無気味だった。―― ――僕はこう言う夢の中からがたがた言う音に目をさました。それは書斎と鍵の手になった座敷の硝子戸の音らしかった。僕は新年号の仕事中、書斎に寝床をとらせていた。三軒の雑誌社に約束した仕事は三篇とも僕には不満足だった。しかし兎に角最後の仕事はきょうの夜明け前に片づいていた。 寝床の裾の障子には竹の影もちらちら映っていた。僕は思い切って起き上り、一まず後架へ... Bookmark |
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