jigahouboku<自我放牧>

707

2012-02-27「小酒井不木 卑怯な毒殺」

from ALBUM : 「2012-0220120227 小酒井不木_卑怯な毒殺
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Featured Instruments

FunkGuitar x2, Bass, Drum

Lyrics

No.707「小酒井不木 卑怯な毒殺」

青空文庫URL : http://bit.ly/y8I1ji

 病室の一隅には、白いベッドの掛蒲団の中から、柳の根のように乱れた毛の、蒼い男の顔が、のぞいていた。その顔の下半分には、口だけが孔となって、厚い繃帯がかけられてあった。
 ベッドの脇には干物のように痩せた男が立っていた。彼は兀鷹のように眼をぎょろつかせて、病人の不思議な感じのする顔をじっと睨んでいた。床頭台上に点ぜられた台附電灯の光が、緑色のシェードを通じて、ゼリーのように、変に淀んだ空気を漂わせた。病院の秋の夜は、静かに更けて行った。

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