jigahouboku<自我放牧>

708

2012-02-28「牧野信一 陽に酔つた風景」

from ALBUM : 「2012-0220120228 牧野信一_陽に酔つた風景
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HeavyGuitar, Piano, Omnisphere, CineOrch, Chorus

Lyrics

No.708「牧野信一 陽に酔つた風景」

青空文庫URL : http://bit.ly/y3JNtI

 鶴子からの手紙だつたので彼は、勇んでY村行の軽便鉄道に乗つた。勇んで――さうだ、彼は、ちよつと自分の姿を傍から眺めて見ると、あまり勇みたち過ぎてゐる自分が癪に触るほどだつた。
 何とまあ自分は気の毒な慌て者だつたことだらう――彼は辛うじて間に合つた汽車の窓に腕をのせて、真盛りの莱畑を眺めながら、あんな手紙位ゐでこんなにも一個の人間が有頂天になるものか! などゝいふ風なことを自分に対して何といふこともなしに皮肉に考へたりしたが...

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