LyricsNo.477「萩原朔太郎 蝶を夢む:蝶を夢む」青空文庫URL : http://bit.ly/qbEntH座敷のなかで 大きなあつぼつたい翼をひろげる 蝶のちひさな 醜い顏とその長い觸手と 紙のやうにひろがる あつぼつたいつばさの重みと。 わたしは白い寢床のなかで眼をさましてゐる。 しづかにわたしは夢の記憶をたどらうとする 夢はあはれにさびしい秋の夕べの物語 水のほとりにしづみゆく落日と しぜんに腐りゆく古き空家にかんするかなしい物語。 夢をみながら わたしは幼な兒のやうに泣いてゐた たよりのない幼な兒の魂が 空家の庭に生える草むらの中で しめつぽいひきがへるのやうに泣いてゐた。 Bookmark |
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